告訴が受理される場合・受理されない場合

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前回、刑事告訴についてお話しさせていただきました。今回は、告訴の受理に関して、どうすれば受理されるのか、告訴が受理されたケース・受理されなかったケースなどについてお話しさせていただきます。

1 告訴の受理義務

警察の捜査規範の中に「司法警察員たる警察官は、告訴、告発または自首をする者があったときは、管轄区域内の事件であるかどうかを問わず、この節に定めるところにより、これを受理しなければならない。」という規定があります(犯罪捜査規範第63条第1項)。また、裁判例の中にも、告訴は原則受理しなければならない趣旨の判断をしているものがあります(東京地方裁判所54年3月16日判決、大阪高等裁判所昭和59年12月14日決定など)。
これらのことから、警察が告訴を受けた場合、原則としてその告訴を受理する義務があると考えられています。

2 告訴の受理を拒否できるとされる場合

上記の通り、原則として警察は告訴を受理する義務を負っていますが、常に告訴を受理しなければならないわけではありません。
例えば、「未だ犯罪事実とはいいがたいような事実の申告であった」、「告訴の内容その他の資料から判断して、申立にかかる犯罪が成立しないことが明らかである」、「既に公訴時効が成立している」などの場合には、告訴の受理を正式に拒否することができるとされています。

3 事実上の受理拒否

受理を突き返される

告訴が受理されると、警察は捜査や事件処理を行う責任を負うことになります。しかし、捜査機関側は常に忙しい状況にあるため、仕事を増やしたくないという意識があります。そのため、告訴を受けた場合にいろいろな理由をつけて告訴を突き返し、事実上告訴の受理を拒否するといったことをしてきます。
例えば、「証拠が少ないので事件にできません」、「それは民事で解決してください」、「記載方法が不適切です」、「もう少し具体的に記載してください」などと言われて、事実上告訴の受理を拒否されます。

どうしたら受理してもらえるか

まず、何といっても、有無を言わせない告訴状であることが理想です(要は警察に告訴を突き返す理由を与えないことです)。具体的には、犯罪事実を具体的かつ明確に記載することが必要です。また、被害状況をわかりやすくするために、現在に至るまでの経緯等を記載することも必要です。
次に、いくら告訴状に犯罪事実等をきちんと書いていたとしても、それが全くのフィクションでは警察は相手にしてくれません。そこで、告訴状に記載した犯罪事実を裏付けることのできる証拠をできるだけ添付することが求められます。もちろん、被害を受けた直後では、手元にある証拠は限られています。そのため、目撃者など事情を知る者に陳述書を書いてもらうなどの行動も必要になってくるでしょう。
加えて、(現時点においては)民事による解決が難しいということを警察に説明することも必要でしょう。警察としては、告訴を受理して捜査や事件処理を進めていたのに、被害者と加害者で示談が成立して、途中で告訴が撤回されるということになると、結果的に無駄な労力を費やすことになってしまうため、民事解決の見込みがあると告訴を受理することを渋ります。そのため、警察に告訴を受理してもらいたい場合は、民事解決ができそうであるという印象を警察に与えないようにすることが必要でしょう。


いかがだったでしょうか。警察に告訴を受理してもらうということは、皆さんが思うよりも難しく、少しでもスキを作ると、いろいろ難癖をつけられて告訴を突き返されることになってしまいます。告訴をなかなか受理してもらえない人、どうしても告訴を受理してもらいたい人などは、弁護士に相談してみるのもよいかと思います。