セクハラをやめさせる方法

このエントリーをはてなブックマークに追加

セクハラとは「性的な言動による嫌がらせ」という意味で正式にはセクシュアルハラスメントといいます。1989年に出版社に勤務していた女性が上司を相手に日本初のセクシュアルハラスメント訴訟を起こして全面勝訴したことをきっかけに、セクハラに対する国民の意識が高まりました。セクハラは職場に限ったことではなく、社会的に上下関係が存在する場所にはどこでも存在する身近な問題です。
セクハラという言葉は1989年に流行語大賞で金賞をとり、その後一般に広く使われていますが、厳密には「対価型セクシュアルハラスメント」と「環境型セクシュアルハラスメント」という2つのタイプがあります。
対価型セクシュアルハラスメントとは、立場が上であることを利用して性的な関係を強要したり、拒否した場合に減給や降格、退職など相手に対して金銭的に不利益を引き起こす行為で、主に職場で起こります。「性的な好みで雇用条件に他の人と差をつける」「人事考課を条件として性的関係を迫る」「教師としての立場を利用して生徒に性的関係を迫る」などがこれに該当します。
一方、環境型セクシュアルハラスメントとは、性的な関係を要求するのではなく、性的な言動で不快感を与え職場や該当する集団の環境を損なう行為が対象です。「性的な話題を口にする」「プライベートな事に関して意図的に噂を流す」「過去や現在の恋愛関係についてしつこく質問する」「執拗にメールや電話をする」など、相手に不快な思いをさせることが該当します。また、以前は男性から女性への人権侵害行為として問題になっていましたが、現在は被害者に男女の区別なく加害者が同姓である場合も含まれます。

セクハラをやめさせる方法

不快な思いを抱えたまま職務を行うのはとてもストレスになります。労働環境を改善しその後も同じ職場で仕事を続けていくためにはできるだけ早期に解決することが重要なので、以下の方法が有効です。

1. 周囲に相談し、セクハラを許さない雰囲気を作る

セクハラを受けたら、まずは一人で悩まないことです。セクハラ行為は「不快だと感じること」という性質上、本人の受け取り方や感じ方によって変わってしまう、とてもデリケートな問題なので、セクハラ行為に含まれるのか含まれないの自身の判断で迷ってしまい周囲の人に相談することが難しいという面がありますが、実際に不快な思いをしているのであれば同僚や信頼できる上司などに相談し、セクハラを許さない雰囲気作りをすることが大切です。

2. 明確に意思表示をする

不快な言動に対しては断固とした拒否の意思を伝えることが重要です。何も言わずに黙っていたり曖昧な返事をすると、不快だと感じていないと解釈されてセクハラ行為が継続されてしまいます。また、拒否されていないので双方合意のもとの言動であったと反論されてしまう可能性もあります。

3. 人事部などの機関に相談する

具体的な証拠を揃え会社の人事部や相談窓口に相談することをおすすめします。その際、担当者が正しく判断できるよう、誰に、いつ、何をされたのかなど具体的に事象がわかるものを持参する必要があります。執拗に送られてきたメールや会話の録音データなど、できるだけ証拠となるものを用意しておくと調査の手間が省け、迅速に対応してもらえます。


また、既に辞職後であったり辞職を検討中で、訴訟を起こしても構わないという状況であれば、以下の方法もあります。但し、これらの対応をとると個人の問題ではなく、会社を相手とした問題提起となってしまいます。それを理由に解雇されることはありませんが、現実問題としては居心地の悪い思いをする可能性もありますので、慎重に検討して方向性を決めることをおすすめします。

4. 他の機関に相談する

相談できる部署や他に信頼できる上司がいない場合などは、外部の機関に相談することができます。「都道府県労働局雇用均等室」「労働基準監督署」「総合労働相談コーナー」「NPO法人労働紛争解決支援センター」などがそれに当たります。都道府県労働局雇用均等室とは、男女の雇用について均等な機会および待遇の確保対策や、家庭と仕事の両立支援対策を進める機関で、労働基準監督署の上位機関となります。労働基準監督署とは、法律に基づき事業所に対する監督指導や労働保険に関する加入手続きなどを行う国の機関で、各都道府県に設置されています。総合労働相談コーナーとは厚生労働省により設置されている機関で、労働条件、セクハラ、嫌がらせなど労働問題に関わる様々な分野について、専門の相談員が労働者や事業主からの相談を面談や電話で受け付けています。NPO法人労働紛争解決支援センターとは、社会保険労務士という国家資格を持った専門家が労働環境に関する相談を受け付ける機関で、東京、埼玉、千葉を中心に活動している非営利団体です。いずれも、セクハラ問題に対する相談を受け付けているので解決策へのアドバイスや支援を受けることができます。

5. 弁護士に相談する

本来、セクハラ問題については当事者間で解決できることが最も望ましいですが、「上司と対面で話し合いたくない」「人事部が取り合ってくれない」など、会社の規模や社内の人間関係などで上記の方法により解決できないケースが多々あります。社内で他にも同じような被害を受けている人がいる可能性も考えられますので、中立な立場で専門的知識を持って対応できる「弁護士」に依頼することによって、従業員が安心して勤務できる社内環境整備が期待できます。弁護士に依頼すると、万が一、残業代などの未払い金や理不尽な理由による転属や解雇などがあった場合、慰謝料請求などを含む交渉全般を行ってもらえるので、会社や上司と交渉するために直接顔を合わせずにすむだけでなく、弁護士名義の内容証明を送ることにより示談交渉で早期解決できるケースも少なくありません。
通常、弁護士に相談する際は30分で5000円前後の相談料が相場とされていますが、「初回の相談は無料」「曜日によって無料相談有り」など、相談しやすい制度を実施している弁護士もいます。また、曜日を決めて弁護士の無料相談会を実施している自治体もありますので、その後依頼するかしないかは別として今後の対応方針を検討するためにも一度相談されることをおすすめします。

弁護士費用と損害賠償額の相場

弁護士に依頼すると、「着手金35万円+成功報酬額(慰謝料の16%前後)+通信費や弁護士の日当」の費用がかかります。例えば労働審判が3回行われ損害賠償が100万円だったとすると、費用のめやすは60万円前後となります。但し、費用については規定がないため弁護士によって大きく異なります。下記の内訳はあくまで目安ですので、無料相談の際に実際に依頼するといくら必要になるのかを確認してから検討することが大切です。

1. 内容証明

内容証明郵便を使ってセクハラ被害と慰謝料請求を相手に請求しますが、弁護士が文書を作成代行して本人名義で送る場合、2~3万円かかります。また、弁護士名義になると効果は高くなりますが、3~5万円程の費用がかかります。

2. 交渉・労働審判・訴訟

交渉全般、裁判所で行われる手続き、裁判所への出廷などを含む依頼として、着手金は30万円程が相場になります。

3. 成功報酬

慰謝料を受け取ることができた場合、その16%前後の金額を報酬として支払います。

4. その他

通信費や交通費などの実費、交渉や出廷などの弁護士の日当などが別途かかります。また、日当については1時間あたり1万円程度が相場とされています。


セクハラによる直接的な被害の他にも「セクハラが原因でうつ病になり通院した」など、セクハラが原因で被った不利益については、損害賠償として請求することができます。セクハラに対する損害賠償の相場は50~200万円くらいとなっており、「セクハラ行為への悪質性」「セクハラ行為の持続性」「被害者と加害者の関係」「セクハラによって被害者が被った損害」の要素により判断・決定されるので、弁護士に依頼した際に発生する費用と想定される慰謝料のバランスによって、弁護士に依頼した方が良いのか、自力で解決した方が良いのか判断が分かれるところです。
また、嫌がっているのに強引にキスされた、体に触れられた、強引に性関係を持たれたなど、強引に直接的なセクハラ行為がある場合は、(準)強制わいせつ罪や(準)強姦罪などで刑事告訴することも可能です。刑事告訴になると手続きや費用も変わってしまいますので、弁護士とよく相談し、最善の対処方法を検討してください。