2018年に大量の雇止め?-いわゆる2018年ショックについて

このエントリーをはてなブックマークに追加

平成24年に労働契約法という法律が改正されました。その改正によって、非正規労働者(有期労働契約の労働者)は契約時から5年以降も働き続けると正規労働者(無期労働契約の労働者)へ転換できるようになりました。もっとも、この改正によって、大量の非正規労働者が全国的に契約更新を拒否されるという可能性が出てきているのです。
今回は、この無期労働契約への転換という法制度やそれに付随する問題点(いわゆる2018年ショック)、当該問題への対応策などに関してお話しさせていただきます。

1 無期労働契約と有期労働契約

労働契約には大別して、「無期労働契約」と「有期労働契約」があります。
無期労働契約は、正規労働者と言われる人々の雇用形態であり、基本的には定年まで雇用される契約をいいます(いわゆる終身雇用の人たちです)。
これに対して、有期労働契約は、非正規労働者(契約社員)と言われる人々の雇用形態であり、契約期間が有期(例えば1年とか)で定められて雇用される契約をいいます。

2 無期労働契約への転換

平成24年の労働契約法改正により、有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換(契約社員から正社員への変更)という制度が設立されました(労働契約法第18条)。当該制度の概要は次の通りです。

① 有期労働契約の契約期間を通算した期間(通算契約期間)が5年を超える労働者は、会社側に対して、無期労働契約の締結の申込みをすることで、次の契約期間満了日の翌日から無期労働契約の労働者になることができる(労働契約法第18条第1項)。
② 通算契約期間の算定において、有期労働契約とその次の労働契約の間に契約のない期間(空白期間)がある場合は、その空白期間が6か月以上続いたときは、通算がリセットされる(労働契約法第18条第2項)。

①は、通算で5年を超える契約を続けた非正規労働者が、会社側に「正規労働者になりたい」と意思表示すれば、次回の更新時から正規労働者になることができるというものです。②は、「通算」の計算方法について、2つ以上の有期労働契約の間が空きすぎた場合は通算がリセットされてしまう(逆に言えば、期間が空きすぎていなければ、一度契約が途絶えても通算される)というものです。
例えば、有期労働契約が2年の場合で、更新がないまま契約が一旦途絶えて、5か月後に再び2年の有期労働契約を締結し、通算契約期間5年以降に転換の申込みをすれば、次回更新時から正規労働者になることができます(下記の例を参照)。

2018年に大量の雇止め?-いわゆる2018年ショックについて

3 2018年ショック

2018年に非正規労働者を大量に雇止めする!?

平成24年の労働契約法改正は、施行日が平成25年4月1日からですので、通算契約期間の算定もこの日から始まることになります。そのため、理論上は、無期労働契約への転換を申し込む労働者が初めて現れるのが平成30年4月1日となります。
しかし、会社としては、非正規労働者にコストのかかる正規労働者へとポンポン転換されては困ると考え、全国的に通算契約期間が5年となる前に非正規労働者の契約更新を拒否するという対応(いわゆる雇止め)に出ることが予想されます(「2018年問題」とか「2018年ショック」と言われています)。

雇止めの適法性を争う

このように、2018年に全国的に大規模な雇止めが行われる可能性はありますが、たとえ契約更新の拒否でも、きちんとした更新拒否でないと、契約更新を承諾したものとみなす法律があります。それが労働契約法第19条です。同条は、更新への合理的な期待がある場合には、きちんとした理由や相当性がない限り、契約が更新されたものとすると規定しています。

このように労働契約法第18条に加え同19条がありますので、会社側としては、労働契約の締結時点で「5年以上は更新しない」と定めることで、無期労働契約の転換を回避しつつ、雇止めの適法性を争われた際に「そもそも更新への期待がなかったはずである」と主張できるようにしておくということが考えられます。しかし、このような契約があったとしても、労働者の更新への合理的期待が必ず失われるわけではありません。過去の裁判例においても、会社側から契約を継続させるとの発言があったり、実質的には正社員と同じように扱っていたことから、労働者には更新への合理的な期待があったと判断したものがあります


いかがだったでしょうか。非正規労働者のために法改正をしたにもかかわらず、それが逆に非正規労働者を窮地に追いやることになりかねないものとなっており、少し悲しい気がします。2018年は非正規労働者にとっては厳しい年になってしまうかもしれませんが、単に正規労働者になってほしくないとの理由のみで雇止めをしても、適法にならない可能性がありますので、諦めずに雇用継続を争うことも考えておく必要があるでしょう。