過払い金の発生するメカニズムや返還までの流れを解説

このエントリーをはてなブックマークに追加

よくCMで耳にする過払い金について、過払い金が発生するメカニズムや返還までの流れを解説します。キャッシングを利用していた人たちは必見です。

1 過払い金とは

過払い金とは、法律上は払う必要がないのに、払いすぎてしまったお金のことをいいます。
本来、利息制限法という法律によって、お金を貸す際の金利の上限が決まっています。ところが、少し前までは、消費者金融や信販会社などの貸金業者が私たちにお金を貸す際、金利の上限を守らずに高い金利でお金を貸していました。そのため、お金を借りた人たちは、法律上は払う必要のない利息を余分に払ってしまっており、本来は完済しているにもかかわらず払い続けてしまっていたのです。
このような状況の中、ある最高裁判決が出ました(最高裁判所第二小法廷平成18年1月13日判決・民集60巻1号1頁)。それまで、利息制限法所定の上限金利を超える利息の支払いであっても、みなし弁済(貸金業法第43条)という制度によって有効な支払いと扱う余地がありました(そのため、貸金業者には返還義務はありませんでした)が、上記判決によってその余地がなくなったのです(この判決によって、最高裁判所によって過払い金の存在が全面的に承認されたといえます)。この判決が出た後、貸金業者に対して、払いすぎた利息分の返還を求める人が急増し、過払い金ブームが始まることになったのです。

利息制限法における金利の上限表

元本残高 制限金利
10万円未満 年利20%
10万円以上100万円未満 年利18%
100万円以上 年利15%

※ 例えば、元本残高が20万円なのに、年利29.2%で利息を支払っているのであれば、本来年利18%での利息しか払う義務はないので、利息を払いすぎている(過払い金が発生している)ということになります。

2 過払い金を請求できる期限

よく時効という言葉を耳にすると思いますが、過払い金にも時効があります。過払い金は、貸金業者との最終取引日(完済日)から10年経過してしまうと、時効によって請求することができなくなってしまいます。例えば、最終取引日が平成18年8月1日の場合、平成28年7月31日が経過した時点で過払い金の請求はできなくなります。
また、最終取引日が10年以内であっても、途中で完済した時期があるのであれば、その時点から10年経過した時点で、途中完済時までに発生していた過払い金は請求できなくなるおそれがあります。例えば、平成18年8月1日に一度完済して4か月後に再び取引を開始し、平成26年1月に完済した場合です。この場合、平成28年7月31日を経過した時点で、平成18年8月1日まで払いすぎていた分に関して、過払い金の請求できなくなるかもしれないのです(請求できるのは、せいぜい4日月後の取引を開始した時点以降に払いすぎていた分のみです)。
※ 途中で完済している場合でも、その後再び取引を開始するまでの期間が短い場合などは、一連の取引とみて、途中完済時から10年経過しても時効としないという見解があります。この見解は裁判所も採っている立場なので、途中完済の時期があっても必ず時効となるわけではありません。

3 過払い金返還の流れ

過払い金が発生しているか確認する!?

過払い金が発生するのであれば、貸金業者に返還請求をすることになりますが、そもそもどうやって過払い金が発生しているかを確認するのでしょうか。
これについて、貸金業者は顧客との取引履歴を会社に保管していますので、まず会社に取引履歴を開示してもらいます。具体的には、「全取引履歴の開示を求めます」と記載した書面を貸金業者に郵送ないしFAXをすることになります。そして、その取引履歴をもとに、Excelを使って「上限金利で取引していた場合の利息計算」をします。すると、上限金利を超えた取引をしていたのであれば、払いすぎた額が浮き彫りになるのです。なお、過払い金計算用のExcelファイルは、ネットで調べれば出てきますので、計算自体はそこまで難しくはありません。
なお、過払い金返還の法律事務を扱っている弁護士事務所であれば、取引履歴の開示請求を代わりに行ってもらえますし、当然過払い金計算用のExcelファイルも持っていますので、依頼する際に依頼者が何か用意するということは基本的にはありません。

過払い金を請求する

こうやって浮き彫りになった金額を貸金業者に示して、その額を返還するよう求めることになります(基本的に書面で請求します)。ちなみに、法律上は、過払い金に5%の利息を付して返してもらうことができますので、過払い金を請求する際は5%の利息を含めて請求することになります。

返還交渉・和解・訴訟

その上で、貸金業者と返還交渉をすることになり、妥協点(「過払い金額の8割で和解」、「利息カットで過払い金全額で和解」など)を見つけて和解するという方法が一般的です。和解交渉自体は電話で行う場合がほとんどです。和解に至った場合は、和解書を2部作成し、お互いが一部ずつ保管することになります。
また、相手方が提示してきた和解提案が納得できるものでなければ、訴訟を行うこともあります。訴訟は、訴状(収入印紙を貼付)、郵便切手、証拠説明書と各証拠(取引履歴・利息計算書)、代表事項証明書(貸金業者の会社情報が記載された登記簿謄本)を裁判所に提出することで行います。もっとも、訴訟中であっても、和解をすることはできますので、併行して和解交渉をすることにはなります(貸金業者によっては、訴訟をして初めて和解額を上げてくれるところもあります)。また、裁判所からも和解勧告がなされるのが一般的です。最後までお互いに妥協点が見つからなかった場合は、判決をしてもらうことになります。

過払い金の入金

和解をし、もしくは判決が確定した場合、貸金業者はそれに従って過払い金を入金することになります。
なお、期日まで入金しなかった場合、和解のみの場合は判決を求めて裁判をしていくことになりますが、判決が確定している場合は強制執行をすることができます(例えば貸金業者の銀行口座を差し押さえるなど)。もっとも、ほとんどの貸金業者は期日までには入金してくれますので、強制執行まで行うのは稀です。


いかがだったでしょうか。信販会社からお金を借りていた人でも過払い金は発生し得るので、「自分は…」と思うのではなく、一度弁護士に相談してみるのもよいかと思います。