住宅を残したまま債務を減額!個人再生の手続きを解説

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債務が多くなり、このままでは返済を継続することはできないけれど、住宅を持っているから破産はしたくないという場合があるかと思います。そのような場合、自宅を失わずに債務額を減らす手続として個人再生というものがあります。これは、住宅ローンの返済をそのまま継続しながら、他の債務を少なくしたうえで分割で支払うようにする手続きです。
この個人再生には、小規模個人再生・給与所得者等再生という2種類の手続きがあります。これら2つの手続きは、それぞれ利用条件が違いますし、最終的に弁済する総額も変わってきます。
今回は、いざというときのために、この2種類の個人再生手続きについてお話しさせていただきます。

1 個人再生手続きの種類

小規模個人再生

① 債務総額(住宅ローンを除く、以下同じ)が100万円以下の場合は、債務全額
  債務総額が100万円より多く500万円以下の場合は、100万円
  債務総額が500万円より多く1500万円以下の場合、5分の1相当額
  債務総額が1500万円より多く3000万円以下の場合、300万円
  債務総額が3000万円より多く5000万円以下の場合、10分の1相当額

② 清算価値(「財産項目ごとに一定額を超えた場合の財産」を合計した額)

のどちらか高い方の金額分を分割で返済していく手続です(住宅ローンは通常通り支払っていきます)。
例えば、Aさんの負っている債務総額が600万円で清算価値が110万円(預金が30万円、保険の解約返戻金が50万円、自動車が30万円)の場合、債務総額の5分の1は120万円なので、この120万円が弁済総額となります。そして、個人再生においては、原則として3年での分割払い(計36回)となるので、上記の場合は月額3万3,333円を返済していくことになります(もちろんこれとは別に住宅ローンを通常通りに支払っていくことになります)。
なお、特別な事情があれば、5年での分割払い(計60回)とすることもできます。

給与所得者等再生

個人再生手続きのうち、給与所得者等再生は上記①②に加え、
③ 可処分所得(年収から税金・社会保険料・最低生活費等を差し引いた額)の2年分
のいずれか高い方の金額分を分割で返済していく手続です(住宅ローンは通常通り支払っていきます)。
この手続きにおいては③が加えられることになりますが、③が意外と高額になることもあり、この手続きを選択することになると弁済総額が多くなってしまう可能性があるのです。

2 個人再生の利用条件

上記2種類の個人再生の利用条件はそれぞれ次の通りとなっています。

個人再生共通

① 個人であること(民事再生法第221条1項)
② 将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること(同項)
③ 住宅ローンを除く債務総額が5000万円を超えないこと(同項)

小規模個人再生

④ A 債権者の頭数の半数又は債権額の過半数で不同意がないこと(同法第230条第4項・6項)

給与所得者等再生

④ B 給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがあって、収入変動幅が小さいと見込まれること(同法第239条第1項)
※ その他、過去に給与所得者等再生の再生計画を遂行したことがある場合は再生計画認可確定決定日から7年以内でないこと、ハードシップ免責がされた場合は再生計画認可決定確定日から7年以内でないこと、破産の免責許可決定確定日から7年以内でないことという条件もあります(同法239条第5項2号参照)。


個人再生においては、小規模個人再生であれば、可処分所得という弁済総額を決定する基準はありませんので、債務者に有利ですが、不同意条件(上記④A)がしばしばネックになります。例えば、Aさんの債権者4名のうち、2名が不同意を出してしまうと、不認可となります。またAさんの負っている債務総額が600万円の場合、債権者の一人であるX株式会社が310万円の債権を持っているとしたら、X株式会社が不同意を出しただけで、不認可となってしまうのです。
このように、債権者の一定の不同意を受けた場合には、小規模個人再生を利用できず、給与所得者等再生(債権者の同意は不要)を利用せざるを得ないのです。
※ 給与所得者等再生においては、給与など定期的な収入を得る見込みとその変動が少ないことという条件(上記④B)が求められていますので、サラリーマンなどは利用しやすいですが、一般的に収入の変動が多い個人事業主は基本的に利用することができません。そのため、債権者の一定の不同意を受けた個人事業主が2つの手続きのどちらも利用できなかったということもありえます。

個人再生の手続きの流れ(東京地裁の場合)

個人再生の申立て

所定の書式で個人再生の申立書を作成し、裁判所へ提出します。

再生手続の開始決定

申立後、裁判所に申立書の内容を審査され、再生委員が選任されます。そして、再生委員と面談し、問題がなければ裁判所から開始決定が出されます。
なお、この頃から、申立人が今後きちんと再生計画に従った支払いができるかテストするために、再生委員に対して毎月一定額を支払うという手続きが始まります(再生委員の報酬となります)。

債権者による債権届出書の提出・申立人による債権認否一覧表の提出

開始決定後、各債権者は債権届出書(自分の債権の額を記載した書面)を裁判所に提出します。その後、申立人は債権者の示した債権額に対して認否を行います。このような手続きを経て、最終的に再生債権額(債務総額)が確定されます。

申立人による再生計画案の提出・債権者による書面決議又は意見聴取

再生債権額をもとに、再生計画案(弁済総額と毎月の支払額)を作成し、それを裁判所に提出します。その後、この計画案について、債権者に対して、小規模個人再生であれば書面決議(同意・不同意)、給与所得者等再生であれば意見聴取を行います。

再生計画認可決定・弁済の開始

(小規模個人再生の場合は、前記のような債権者による一定の不同意がなければ)裁判所によって再生計画の認可決定がなされ、認可から1か月後の認可決定の確定をもって再生手続きは終了し、申立人は再生計画案に従った返済を開始することになります。


いかがだったでしょうか。個人再生手続きにおいては、手続きの選択の判断や申立書の作成、裁判所や再生委員とのやりとり等があり、一般の方が自力で申立てをするのは難しいと思います。もし、個人再生を考えているのであれば、一度弁護士などに相談してみるのもよいでしょう。