トラブルの解決策を適切にデザインすれば、必ず和解できます。 / 倉持 麟太郎 弁護士


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– 本当は、皇室典範の改正という方向で行きたかったわけですね。

そうなんですが、この件は全会一致で進めたいマターでしたので、閣法、または対案のどちらかで正面突破で突き進んでも、国会内で広い合意が取れないおそれがありました。ただ、全会一致でなければならなかったからこそ、与党側も譲歩したという面があります。そもそも、有識者会議を中心とした政府再度のみで進めようとしていたところを、国会での議長のもとでの開かれた全体会議に移行することができました。内閣から国会、つまり国民に取り戻したのです。これは、政府よりもかなり先んじて民進党から内容的に正しい中間論点整理がで出て、争点設定をしたからこそ、有識者会議の価値は相対的に下がり、国会でのオープンな議論へとつながる糸口となったのです。マスコミはこの民進党の働きをもっと報じるべきでしたし、一方で、野党の人々は、「野党だからできない」などと自虐的になっている暇があったら、全員120%の仕事をしてほしいと思います。この攻防は、本当に面白かったですね。

このたびのテロ等準備罪の議論にも関わりましたし、今は憲法改正、特に9条の改正案について一つ企んでおります。こうした憲政の場に、法律実務家として関われる喜びもあります。

– こういうふうに、立法過程に関わるようになったきっかけは、何だったのでしょうか。希望すれば誰でも入れるとは思えないのですが。

これは、安保法制が議論されていた当時に、安保法制に関する質問や対案の作成に携わるようになってからです。

– 未知の領域でしょうから、大変なプレッシャーもあったでしょうね。

和解は絶対に可能である

倉持 麟太郎 弁護士

– では、一般的なリーガル案件としては、どのような分野に注力していらっしゃいますか。

一般企業法務が多いですね、契約書チェック等の顧問業務です。分野としては、企業の労務管理に関する相談やご依頼が多いです。
これは、わたしの個人的な意見ですが、コンサルタントという職業が独立して存在している意義は、本来低いと思っております。医師や弁護士、会計士などの専門家がコンサルティング業務を行うべきだと思っているのですが、コンサルティングを専業でする職業は、必要なのだろうかと疑問に思うのです。

– それは、どういうことでしょうか。世の中にコンサルタントを名乗る方はたくさんいらっしゃいますけれども。

これからAI(人工知能)が発達していけば、知識そのものの社会的価値はそれほど重要でなくなり、知識だけ伝達する職業は淘汰されていくと考えています。

労務管理の問題であれば、企業の経営者は、労働者に対して、いつ、どのような書面を、どのようなタイミングで相手方に渡すのか、メールのほうがいいのか、対面であればどのような話し方で切り出し、どのような順番で説明をすべきなのか、わたしどもは事細かにコンサルティングします。

– それは、ただ単に法律系の本を読んで、自分で解決しようとしている方だと得られない知見ですね。

はい、今はネットが発達しているので、それなりに法的な知識を得た上で事務所にお越しになる方も少なくないのですが、こちらとしては、それをずっと上回る品質の情報を提供しなければなりません。
社長に対して「これは違法です」「合法ですが後は経営判断です」といった助言をするだけでは古いと思うんです。必要に応じて、細かくシナリオを書いて差し上げます。

– それも、メディア出演などの経験が豊富な倉持先生だからできる技だということでしょうか。

それもあるかもしれません。相談にいらした社長さんが期待している以上の回答を返すように心がけています。
企業法務だけでなく、個人の離婚案件でも同様です。「最初は、こうしてください」「この事実は、まだ言わないでください」ですとか、「もし、相手がこういうことを言ってきたら、今日はとりあえず止めてください」など、シナリオを細かく作って提示することがあります。

– それで協議離婚に持ち込めたら、衝突を未然に防げていいですよね。

そうなんです。示談や和解は、絶対に可能であると個人的には考えているのです。

– 絶対にですか。

100%できると考えています。紛争を先鋭化させることなく、紛争は解決できます。それが、これからの時代に求められる弁護士だと、ぼくは考えています。

それに、示談に持ちこむ過程で、様々なフェーズでの書面をそのつど創造的に作っていけばいいのだと思います。なにも「○○契約書」といったタイトルが付いていなくても、合意が取れていれば、その合意を書面の形に残していけばいいのです。決められた段取りどおりに進めることが好きな方もいらっしゃいますが、私は弁護士業務はとてもクリエイティブな仕事だと考えています。

– 依頼人の話を聞きながら、解決策をオーダーメイドしていく感覚でしょうか。

そうです。オーダーメイドであり、カスタマイズしていくのです。それは個人でも企業でも変わりません。

たとえば、当事者同士で話し合ってもうまくいかない、代理人弁護士同士で話し合ってもうまくいかない…… だけど、向こうの代理人と当事者とわたしの三者で話し合うと、急にうまく進むという場合があるのです。三者で話し合うとチェック・アンド・バランスが作用するからだと思うのですが、調停の場でも、この形で話し合いを進めてほしいと裁判所に申し出ました。

ある事件で、わたしに相談があるまで、3年間ずっと話し合いがこじれたままのトラブルだったらしいのですが、わたしが後任として受任して、この人的構成の枠組みを採用してからは、数回の話し合いで解決まで持ちこむこともできています。これも異例の構成ですが、相手方と相手方代理人のやりとりと力関係を見て、相手方及び相手方代理人が同席していた方が話が進むと直感的に感得してのです。