労働者の為にも真摯に使用者側労働問題に取り組む / 山浦 美紀 弁護士


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弁護士法人イノベンティア代表の飯島歩先生にご紹介頂き、使用者側の労働問題に注力する鳩谷・別城・山浦法律事務所山浦美紀弁護士にインタビューさせて頂く機会を得た。使用者側労働問題に注力する弁護士として、その活動内容やお考えなどについてうかがった。

大学の実務家講義で弁護士を具体的にイメージし、大阪最大手の北浜法律事務所へ

– 弁護士を目指すきっかけについて教えてください。

法律に興味があって法学部へ進学したものの、具体的に弁護士という職業をイメージはしていませんでした。阪大の法学部では、複数の弁護士の先生がいらして実務家が講義担当する「ロイヤリング」という授業があるのですが、講義に来られた先生が生き生きとされていて、とても充実されているように思えたので、弁護士が将来の職業として具体的なイメージでき、司法試験を受験しようというきっかけになりました。現在、私も、阪大法学部でロイヤリング講義やロースクールの講義を担当して、後進の育成にも力を入れています。

– 司法修習を経て北浜法律事務所へ行かれるんですね?

元々企業の側からコンプライアンスとかそういうものをやりたいと思っていましたので、大阪で企業法務を中心にやっている法律事務所ということで、最初は、北浜法律事務所にお世話になりました。
2003年に弁護士登録をしたのですが、その頃、世の中が不景気ということもあって倒産事件が華やかなりし頃で、倒産事件やM&A、そして企業の業績悪化などにより、企業として人員を削減しないといけないという事情もあり、解雇、雇い止めなどの、いわゆる労働事件の企業側の代理人などに従事させて頂きました。弁護士登録をして数年後、ちょうど弁護士の仕事に面白みを感じることができてきた頃に、リーマンショックがあり、大型倒産事件に数多く携わるかたわら、雇い止め、解雇などの労働事件もたくさんあり、世の中は不況でしたが、弁護士としては今までに無いくらいの大きな案件に関与できました。今振り返ってもすごく忙しい時期ではありましたが、弁護士としては本当に多くの貴重な経験をさせて頂いたと思っています。

– 北浜法律事務所には何年いらしたのですか?

ちょうど10年ですね。大型の倒産事件や、M&A、労働問題を多く担当していました。とても充実していたように思います。時間の経過と共に、リーマンショックの影響がだんだん和らぎ、大型倒産事件というものも徐々に減っていきました。私は、そのような環境の変化に対応する形で、自分が女性ということもあり、女性社員が被害者となったのハラスメントの調査の仕事や、公益通報保護法の施行と相まって企業の内部通報窓口を担当させて頂く機会が増えてきました。その頃から企業向けにハラスメントの講演の仕事も頂くようになり、今でも月に平均2回程度ハラスメントをはじめとするコンプライアンスの研修の講師を担当させて頂いています。そして、労働事件の割合が徐々に増えていき、労働事件が面白くなって、使用者側の労働事件を主として取り扱うようになっていきました。

– ありがとうございます。それで今の事務所に移籍されると思うのですが、その話を伺う前に内部通報窓口について教えて頂けますでしょうか?具体的には、どういう仕事なのでしょうか?

内部通報のシステムは、企業それぞれに規則を設けていると思われます。通報窓口として、弁護士が関与する場合は、純粋な第三者として、内部通報者の方からの通報を受けて、「このような通報があったので、調査してください」と企業に対し依頼をするところまでが主たる業務になります。調査に関与する場合もありますが、どちらかの代理人になって交渉するような仕事ではありません。通報者の匿名での通報という取扱いをするところもありますし、通報者の方のお名前をお聞きして、あとで当該通報者の方にフィードバックするというところもあります。通報者に関する情報の管理は非常にセンシティブで、そこを間違えますと大変なことになりますので、内部通報窓口を担当する弁護士は、非常に注意を払っていると思います。

– ということは内部通報者制度の依頼というのは事務所単位ではなく、弁護士個人に依頼がくるということでしょうか?

事務所単位で窓口になることもありますし、個人単位で窓口になる両方のケースがあると思います。ただ、ハラスメントなどの問題は、プライバシー保護、情報の管理という面が非常に重要になりますので、私の場合、女性弁護士ということもあって、個人で依頼を受けています。

使用者側の労働問題の専門家集団である鳩谷・別城・山浦法律事務所へ移籍

山浦 美紀 弁護士

– そして、鳩谷・別城・山浦法律事務所に移籍されるのですね?

北浜にお世話になって10年が経ち、区切りとして、こちらの鳩谷・別城・山浦法律事務所に移籍させて頂きました。

– こちらではほぼ使用者側の労働問題のみを取り扱われているのでしょうか?

まず、労働問題について、労働者側のお話はお受けしていません。使用者側のみになります。そして、事務所として取り扱う事案のうち8~9割が使用者側の労働問題だと思います。それ以外の分野では、その他企業法務や、宗教問題なども取り扱っています。

– 使用者側の労働問題を取り扱う弁護士としては具体的にどのようなことをされるのかお聞きしたいのですが、まず労働法規の特殊性があり、その対応というのが非常に重要な業務であると伺いました。

はい。労働法規は非常に特殊で、他の法律と違い、世情にあわせてかなり頻繁に改正がありまして、例えば育児・介護に関しては今年は2回重要な改正があります。具体的には2017年1月改正法が施行され、また10月に違った改正法が施行される予定になっています。企業としてそういう改正を常にキャッチアップしなければならないのですが、人事部機能がしっかりされている大企業であれば、タイムリーに法改正の情報をキャッチアップもできるのでしょうけれど、そういう体制が築けていないような中堅・中小企業では、キャッチアップすることが中々難しいので、事務所のクライアントの皆さんに対しては、改正法対応セミナーを開催させていただいたり、こちらから情報発信などもさせて頂いています。また、事務所や個人で、労働法務に関する本を執筆したりして、常に、クライアントに最新の情報をキャッチしていただく機会を提供しようと心がけています。

– それほど法改正やそれに伴う通達が頻繁にあると、中小企業など、管理部門に大きなコストを掛けられない企業においては厳しいですね。

そうですね。ですから、外部の労務部門的な顧問弁護士として、法令遵守の為のご指導やアドバイス、フォローアップなどをさせて頂いています。