持ち前の行動力と話しやすさで、依頼人のために尽くす。 / 渡邉 祐太 弁護士

このエントリーをはてなブックマークに追加

都心のオフィス街である内幸町の一角で、2016年11月に開設されたばかりの華鼎国際法律事務所を訪問し、渡邉祐太先生にお話を伺った。
細身の若手弁護士で、話し方もおっとりしていて、一見すると頼りなさそうだが、第一印象に惑わされてはならない。秘めたる人一倍のバイタリティで、苦手意識や困難を乗り越えてきたエピソードを語っていただいた。

大学受験のリベンジで司法試験に挑戦

– 弁護士になろうとしたきっかけについて教えていただけますか。

私は、大学受験で、行きたかった志望校に落ちてしまいまして、最終的に専修大学に拾っていただいたんです(笑)

– いえいえ、拾っていただいたとは(笑)

そのときに自分の不甲斐なさを感じまして、でも、司法試験みたいな大きな試験にチャレンジして、もし合格できれば、大学受験での悔しさを帳消しにできるのではないかと考えたんです。

大学時代に入っていたのが、法律討論サークルというものでして、ある教授が出した課題について、いろんな大学の学生が「論旨」という解答を作成して、一校ずつ発表するんです。その論旨を聞いた他大学から質疑がなされて、それに応答したり、そういう討論会があるわけです。

– ディベートサークルのようなものでしょうか。

そういうものに相当すると思います。関東レベルの大きな討論会になりますと、関東弁護士会連合会や、東京高等検察庁ですとか、東京高等裁判所だったりがバックアップしてくれるんです。これが全国大会になりますと、最高検とか最高裁からバックアップしてもらえるんです。

– バックアップ陣が、どんどんレベルアップしていきますね。

そして、検察官や弁護士、裁判官や学者の方から、論旨や討論のやりとりを審査、評価していただく、そういう討論会です。そこで法律の世界に深く関わったことをきっかけに、本格的に司法試験を目指すことにしました。

– 司法試験を受けることを心に決めて、その前段階として法律討論サークルに入るという目的意識があったわけですね。

そうです。

早朝アルバイトと勉強、繰り返しの日々

渡邉 祐太 弁護士

– 法科大学院での生活はどうでしたか。明治大学ですね。

自分にとっては厳しくて、とにかく勉強をした思い出しかありません。最初のオリエンテーションで、学長から「この厳しい2年間を一生懸命に頑張れば、実務でも何だってできる。この2年間の辛い経験が、必ず将来実を結ぶ」と言われたんです。

– 学長がいきなり脅してきたわけですね(笑)

(笑)その言葉が、ずっと心に残っていますね。正直、法科大学院に入ったときは、司法試験の合格レベルには遙か遠く及ばない実力しかなかったので、あの法科大学院時代を乗り切った経験があることが、今、仕事をする上での自信にもなっていて、一生懸命にやっていけるのだと思います。

当時は朝5時から3時間ぐらい、清掃の仕事をして、そこから学校に通うというサイクルで進めていました。

– 朝ですか。やっぱり、根性のベースが違いますね。朝起きるのは得意なほうですか。

そうですね。休まずに勉強するぐらいの気持ちでやらないといけないと思いましたし、そのためには、時間は朝しか思いつかなかったです。朝に少し早起きすればいいだけじゃないかと思ったわけです。

– 勉強しながらアルバイトをするなら、晩のシフトでコンビニやスーパーなどに入る人のほうが多数派かもしれません。一日の勉強時間の余力でやれますからね。
同じアルバイトをするにしても、朝早い段階で終わらせたほうが、その後の時間を思う存分、勉強に使えると思ったんですね。

開きかけた検察官への道が、いきなり閉ざされた

– 2年間でグッと実力が引き上がって、司法試験に合格されて、その時点では、すでに弁護士になろうと決めていたのですか。

いえ、当時は検察官になろうと思っていました。ドラマの「HERO」に憧れて、被疑者や被告人と最初に向き合い、更生のために諭すことができる法律家は、検察官だと思ったからです。

それと、検察の説明会で、法律家としての国際貢献のことを知りまして、東南アジア諸国、たとえばカンボジアなどの法整備に関わる仕事をしてみたいと思ったのもきっかけです。

検察の教官の方からの推薦ももらっていました。その推薦は教官との人間関係が重要だったりするんですが、途中で教官が別の方に替わってしまいまして、「いや、推薦できないよ」と最終的に言われてしまったんです。

– 話が違いますよね。内定取り消しみたいなものですか。

内々定ぐらいですかね(笑) じつは並行して、法律事務所もいくつか回って、内定をもらったりもしていたのですが、検察のほうが順調に進みそうなので、こちらから断ったりしていたんですよ。

なので、検察の道がダメになって、弁護士志望として、一から就活を再開しました。弁護士の役割も想像以上に広くて深いんだと、法廷の外で活躍する先輩の仕事ぶりを見ていて、自分自身の視野が狭かったことに気づきました。

– 国際貢献は、弁護士の立場でもできるかもしれないですね。

そうですね。やろうと思えば、自分ひとりでカンボジアなどに入って、法整備に携わったり、学校づくりに関わったりできるかもしれないと考え直しました。

じつは読書が苦手。だが、根性で乗り切る

渡邉 祐太 弁護士

– 幼い頃は、どのようなお子さんでしたか。

自分で言うのも恥ずかしいのですが、わんぱくでした(笑) とにかく遊びほうけていましたね。

– 運動部に入ったりとか。

はい、サッカー部に入っていました。

– ポジションはどこですか。

フォワードです。でも、あんまりフォワードっぽくない性格だとは言われます。あんまりガツガツと点を取りに行かないので(笑)

– おっとりフォワードですか(笑)

得点を取りに行くよりは、まわりが動きやすくするサポートに徹するほうが好きですし、得意ですね。

– サポート役の人が、たまたま前にいるというイメージですかね。

そうですね(笑)

– どちらかというと、活発な少年時代を過ごしていたのですね。

ただ、中学に入ると大人しくなりまして(笑) 人と話すのが苦手になってしまって。

– 思春期だから、そういうこともありますよね。何があったんでしょうか。

あんまり覚えていないですが、たぶん恋愛か何かで傷つくことがあったんじゃないでしょうか?(笑) それで異性と話すのが苦手になったりとか……。

– なるほど、それは書いていいんでしょうか?(笑)

お任せします(笑)

– わかりました、書きましょう(笑) 部活はどうしたんですか。

中学でもサッカー部です。小中高と、サッカー一筋でした。

– サッカー部でも大人しくなっちゃったんですか。

いえ、部活の中では普通に話していました。むしろ、部活しかやっていなかったぐらいですね。土日に家にいたり、遊びに行ったりした記憶もないですし……。だから、勉強してなかったですね(笑)

– そうなりますよね(笑) だとすると、大学を目指す段階になっても悩みますよね。

進路はかなり悩みました。ですが、文系学部の選択肢の中では、法学部がいいなと思っていました。

恥ずかしながら、学生の頃から読書が苦手なんですよ。そもそも国語も苦手でして。

– 読書が苦手だったら、受験勉強は辛すぎますよね。

今でこそ、かなり本を読むようになりましたが、子どもの頃はテキストを開くだけで苦痛でした。

– でも、人が遊んでいるときに、サッカー部で汗かいて練習しているわけですし、人一倍の根性はありますよね。ご自分では言いづらいかもしれませんが。

そうかもしれません。チャレンジ精神は、昔からあるほうだと思います。

– サッカー部で、何か印象深い思い出はありますか。

悪い思い出でいうと、高校1年のときに右腕を複雑骨折をしてしまいまして、それが人生で一番大きなケガですね。

– うわあ……。練習中ですか。

試合中でした。相手選手と激突しまして、その後の中間試験では、全部左手で書いて乗り切ったという思い出があります(笑) 左手で書く練習もしましたね。

– 複雑骨折がきっかけで、サッカーが嫌いになったりはしなかったですか。

ずっと好きです。今でもフットサルをやっていますし、フットサルを通じて、法律関係ではない業界の仲間が増えるのも、いいところだと思います。

弁護士1年目で勝ち取った無罪判決

渡邉 祐太 弁護士

– 最初に入った事務所は、いかがでしたか。

司法修習の卒業試験である「二回試験」を受験し終えた直後、ギリギリ滑り込みで、半蔵門にある法律事務所に入れていただきました。

しかし、3カ月ほどで辞めてしまったんですね。上司とウマが合わなかったといいますか、それ以上に自分が勉強不足で、社会人としての経験も欠けていて、迷惑を掛けてしまったのも大きかったです。

– ご自分にも責任があったということですね。次に入った事務所はどちらですか。

専修大学の中にある、今村記念法律事務所です。

– 有名ですよね! 今村力三郎先生は、明治時代に活躍した伝説の弁護士ですから。どれぐらい在籍なさったのですか。

4年ぐらいお世話になりました。今村記念法律事務所で上司にあたるのが、学生時代に刑法の講義でお世話になった杉山博亮先生で、この華鼎国際法律事務所を立ち上げるときにも、こうして誘っていただいたわけです。

– いろいろと繋がっていますね。どのような事件を主に扱っていましたか。

いろいろとやらせていただいたのですが、比較的多かったのは、外国人の事件ですね。

– 刑事事件でしょうか。オーバーステイとか。

そうですね。あるいは一般的な暴力事件とか、偽装結婚などが多かったですね。

– もしかして、外国語がお得意なのですか?

いえ、法廷通訳を業とする団体の関係者に協力してもらっておりました(笑)
その関係で、その団体の依頼を受けて、法律に関する講義をしたりもしています。

じつは、1年目に担当した刑事事件で無罪判決を獲得したことがありまして、それが今でも自信になっています。

– すごいですね! ちなみにどういった事件ですか。

交通事故なんですけれども、ある運転手が運転していたクルマが、赤信号で交差点に入ってきて、他のクルマに衝突したとされた件です。この事故の目撃者が、「あのクルマが赤信号で突っ込んできたよ」と話していたために、業務上過失致傷(現在の過失運転致傷)で起訴されたのですが、その証言が信用できないとされ、結果として無罪が出たわけです。

そのときも、実際に現場へ行って聞き込みをしたり、何度も同じ場所をクルマで走ってみたりとか、自分たちの足で証拠を集めて、本当に「HERO」の久利生検事みたいなことをしていて(笑)、それで見えてきたことがあったんですね。

検事がほとんど現場に行っていなかったので、検事が知らない情報を徹底的に集めたことが、実を結んだと思います。

– 現場を歩き回りながら、「今の自分、キムタクみたいだな」とか思ったりしましたよね(笑)

(笑)ほかの弁護士って、ここまで動くのかな?とは思いましたけど、そういうことを早い段階で経験したので、現場へは積極的に足を運ぶようにしています。

– 昔は検察庁を目指していて、入りかけていた立場ですが、今は検事を倒すぞと(笑)

(笑)そうですね。国家権力の抑制として、歯止めとしての役割で、弁護士がもっと頑張らなきゃいけないと思いますね。
最近担当した刑事事件で、警視庁が無令状でGPSを使用したことが発覚し、東京地裁に違法な捜査であると認めさせることができたことも、その役割を果たせたんだなと実感しました。

– 民事事件も担当されるのですね。

はい、一般的なものですね。貸金や建物明け渡し、倒産、労働問題も扱わせていただいております。

安心・迅速が信条

渡邉 祐太 弁護士

どういう弁護士像を理想としていらっしゃいますか。

敷居の低い、話しやすい弁護士ですね。じつは昔から、友人に相談を持ちかけられることが多かったんですよ。

恋愛相談とかですか。

それも含めてですが(笑)友達とケンカしたけど、仲直りしたいとか。勉強の話とか。

そうなんですか! 内気で勉強が苦手だったんですよね(笑)

内気ではあるんですが、どうやら気軽に話しかけやすいらしいんですね。

実際にこうしてインタビューさせていただいても、他人の話を頭ごなしに否定したりしない雰囲気がありますよね。

そう言っていただいて有り難いです。そんな自分の特性を活かして、依頼者との距離が近い弁護士になりたいという信念を持っています。

法律相談の敷居を低くするために、何か工夫されていることはありますか。

工夫といえるかどうかわかりませんが、できるだけわかりやすい言葉づかいをするよう心がけたりとか、あるいは電話対応ですね。ある相談者から「声を聞いていたら安心した」と言ってくださったこともあります。

それは才能ですね! たしかに、せっぱ詰まって、心理的に追い詰められて電話してこられる方も多いでしょうからね。

ほかには、迅速な対応も心がけています。
刑事事件ですと、逮捕されて勾留されるかどうか決まるまで、最初の1日が勝負だったりしますので、そういう場合に被疑者に接見(会いに行くこと)するのは、「夜遅いから明日」ではなくて「今すぐ」だという意識を常に持っています。

労働問題も同様ですね。突然の解雇になると、「明日からの収入をどうしよう」という状況に陥りますので、当面の生活基盤を、できるだけ速やかに確保する対応が重要になります。

これから、どのような法律家を目指していきますか。

今までは法律のことしか見えていなかったので、それ以外の文化や教養を身につけていきたいです。それによって、紛争解決の選択肢を、広げたり深めたりできるのではないかと思っています。


取材の終了後、インタビュアーをエレベーターの前まで見送ってくださり、扉が閉まるまでお辞儀をしてくださった渡邉弁護士。
ビジネスの場としては通常の光景だが、法律事務所ではそう多くない。コンサルタント型の職業では、クライアントに深々と頭を下げることはご法度との意見もある。

しかし、渡邉弁護士にとっては、その姿がごく自然に見えた。将来が期待される「努力積み上げ型」の法律家である。

渡邉 祐太 弁護士

渡邉 祐太 弁護士
華鼎国際法律事務所

第二東京弁護士会所属
専修大学法学部 卒業
明治大学法科大学院 修了
2012年 – 2016年 今村記念法律事務所勤務
2016年- 華鼎国際法律事務所勤務

渡邉 祐太 弁護士の詳細はこちら