相談にいらした時点で、解決へ近づいています。 / 土田 清子 弁護士

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以前に勤務していた弁護士が、結婚をきっかけに他県へ登録替えとなり、突然の退所。パートナーを失い、意気消沈する安田まり子先生の前に現れたのは、子供が大好きな新進気鋭の若手弁護士だった。
安田まり子法律会計事務所で、代表から絶大なる信頼を寄せられている土田 清子 先生にお話を伺った。法律を盾に女性の権利を守る、頼もしい女性弁護士である。

最初に憧れた職業は、獣医と、家庭裁判所の調査官

土田 清子 弁護士

– 土田清子先生の印象は、事務所の代表でいらっしゃる安田まり子先生からご覧になって、いかがでしょうか。

安田まり子先生

面と向かって申し上げるのも照れくさいですが、日々成長していると思います(笑)

この事務所の勤務弁護士を募集しているときに、何人か応募があったのですが、他の弁護士は、自分のキャリアをどのように高めるか、といった内容を書類に書いてあるのがほとんどなのに対して、依頼者の視点に立ったことを書いてあったのが土田先生だけだったというのが、まず最初の印象です。

当たり前のことのはずなのですが、他の弁護士は依頼者のことについてほとんど言及していなかったのが気になって、結局、土田先生としか面接をしなかったんです。

それと、赤ちゃんが好きな弁護士ですね。矯風会という組織に、赤ちゃんがたくさんいる施設があるのですが、どんな赤ちゃんでも「可愛い、可愛い」って言い続けてだっこしたり、あやしたりしています。
誰に対しても分け隔てのない接し方は、凄いなと思います。

– 有難うございます。では、そんな土田先生にインタビューをさせていただきますが、ご出身は東京ですか。

(土田清子先生 以下同じ)

生まれは東京ですが、父が転勤族で子どもの頃は千葉や盛岡、大阪などに2年ごとに転居していました。だから、出身と聞かれるとどこを言って良いのかいつも迷ってしまいます(笑)。

– 引っ越しばかりで辛かったんじゃないですか。

いえ、新しい環境でも結構なじめるタイプでした。まだ年齢が小さかったのもあるかもしれませんが、大阪から東京に戻ってきたときも、関西弁が自然にスッと抜けたりして、苦労したり辛かったという思い出はありません。

– 当時は、何をするのが好きなお子さんでしたか。結構活発なほうでした?

外で遊ぶことも好きでしたが、小説や漫画など本を読むのも好きでした。

– 漫画というと、少女漫画とかが多かったんですか。

少女漫画もそうですが、父や兄が読むような青年漫画や少年漫画も読んでいました。その当時連載していた『家栽の人』(毛利甚八原作/魚戸おさむ作画/小学館刊)が好きで読んでいて、裁判官や家庭裁判所の調査官、それと弁護士という職業もあるのだなと、小学生の頃から何となく知っていました。

– もう、その頃から弁護士の仕事への憧れは、漠然とながらあったのでしょうか。作中では、印象的な弁護士もいろいろと登場しますけれども。

そのときは、特に弁護士になりたいというわけではなく、むしろ家庭裁判所の調査官の方に興味を持ちました。毛利先生が子供により添って気持ちを探っていく調査官の仕事を非常に魅力的に描かれていたので。

ただ、そこまで強い気持ちがあったわけではなくて、むしろ動物が好きだったので、中学生の時は、獣医になりたいなと思っていました。

– どんな動物が好きなんですか。

犬や猫、ハムスターなどの小動物系が好きなので、小動物系の獣医になりたいと思っていました。ですが、高校に入り数学が苦手なことが分かったので、どうやら獣医は難しそうだ、ということになりまして(笑)。それで以前家庭裁判所の調査官に興味を持っていたことを思い出して、調査官になるには法学部などに入っておいた方がいいだろうと思い、法学部に入学しました。

ただ、法学部に入り、勉強していくうちに家庭裁判所の調査官だけでなく、弁護士も少年事件や離婚事件で、子供の気持ちに深く関われる仕事だと知りました。弁護士が、依頼人や子どものために最善を尽くす立場で仕事が出来ることが分かり、大学2年のときに、弁護士になろうと決めました。

また、世の中には、子どもに限らず、自分の思っていることや考えていることを上手く表現出来ない人が多くいます。私も幼い頃、それほど自分の気持ちを上手く表現できる子どもではなかったので、そういった人達の気持ちを代弁していきたいという気持ちがありました。また、強く主張するだけの弁護士だけでなく、傷ついている子どもや女性の話しをじっくり聞いて代弁できるソフトなタイプの弁護士がいても良いのではないかと思ったことも弁護士になると決めた理由の1つです。

– 法律の勉強は難しくありませんでしたか。

高校時代、学生生活はとても楽しかったのですが、勉強面で言うと進学校に進学したものの、社会や英語、数学が苦手で、どこから手を付けていいのかわからず、勉強したい気持ちはあるのに手をつけられないというもやもやした気持ちがずっとありました。ですから大学に入ってからは気持ちをリセットして一から勉強することができ、学ぶ楽しさを思い出すことが出来ました。また、法律は、高校時代までの勉強と違っていろいろな解釈があり、答えが一つではない学問なので楽しかったですね。

– じつは社会科が苦手だったんですか、かつて。

そうなんです(笑)

弁護士として家事事件に取り組めてよかった

土田 清子 弁護士

– そして、大学卒業後に法科大学院に行かれたんですね。

わたしは法学部出身だったのですが、3年間、もう少しじっくり法律の勉強をしたいという思いがあったので、未修者コースに入りました。そこには年齢層も出身学部も経歴も、まったく違う世界の人たちが集まっているので、視野が広がって、その点でも未修者コースでよかったと思います。大学と違って幅広い年代の方々と学ぶことが出来て、とても新鮮でした。

1学年30人ぐらいで人数が少ない分、学生の関係が密で、友人同士で自主ゼミをやったり、飲みに行ったり、勉強だけでなくて学習環境としても楽しい場所でした。

– そのころの関係は、まだ残っているわけですね。

そうですね。今でも連絡を取り合って、仕事を紹介してもらったり、飲みにいったりしています。同期が交渉の相手方の代理人に就いていて、驚いたこともあります。地方では良くあることかも知れませんが、東京は弁護士の人数が多く、なかなか仕事上同期と巡り会うことはないので。

– 司法試験に合格して、修習時代の思い出はありますか。

新潟で修習したのですが、そこでも法科大学院のときと同じように少人数で、24人しか修習生がいないので、全員の顔と名前が分かり、非常に楽しい修習生活でした。修習後にみんなでご飯を食べに行ったり、勉強をしたり。修習同期とは今でもつきあいがあり、大切な仲間です。また、新潟の法曹3会は、とても法曹育成に熱心で、修習生を育てようという意識を強く感じました。
親身に接してくれた、というと変ですけれども、裁判官や弁護士が担当している起案について積極的に修習生に意見を求めたり、ゼミを開いてくれたりしました。

– そこから弁護士になったわけですが、もともとは家裁の調査官志望だということですから、家事事件に取り組みたいという気持ちがあったわけですか。

最初、そこまでこだわりはなかったのですが、この事務所に入って家事事件を多く担当するようになってやりがいを感じるようになり、家事事件を中心に取り組みたいと思うようになりました。

たとえ憧れがあっても、仕事は実際にやってみなければ、わからないことが多いと思います。私は事務所で家事事件を多く取り扱っている内に、家事事件が自分に合っているなと思いました。自分がやりたいことと今自分が取り組んでいる仕事が重なっていることは、とても幸せなことだと思います。

– 家事事件を担当しているとき、家庭裁判所で調査官に会ったりすることもあるのではないですか。

離婚調停や面会交流の調停で、調査官と一緒に子どもの状況について、話し合うことが良くあります。子どもの頃に憧れていた職業の方と一緒に仕事できるのも、よかったなと思います。

DVが裁判所に認定されにくくなっている理由

土田 清子 弁護士

– どういうところに家事事件のやり甲斐を感じますか。

安田先生もお話ししていましたが、たとえば、家庭内で精神的、身体的暴力を受けて心身ともに疲弊しているような方が事務所に来ると、最初は、本当に声も出なくて、自分の気持ちも話せないような状態なんです。ですが、一緒に調停や裁判をしていって、事件が解決に向かうとどんどん表情も明るくなって、精神的にも回復して、元気になっていくのが目に見えて分かることが多いです。後になって「この方は、こういう性格の方だったんだ」と分かったり。依頼人のことを終盤になって知るという(笑)。そういう変化を間近で感じられることがやり甲斐に繋がっていると思います。

– これからも家事事件に積極的に取り組んで行かれるつもりですか。

これからも家事事件を積極的に取り組んでいきたいと思いますが、家事事件にこだわらず、基本的に、どんな仕事でも厭わずに取り組んでいきたいと思っています。弁護士は、新しい分野の仕事が来る度に勉強をしなければなりませんが、その分飽きることはないですし、毎日新鮮な気持ちで仕事が出来るのでそういった意味でもやりがいがあります。

現在は、離婚や子どもの事件の他に、成年後見の事件も増えました。成年後見は、遺産分割協議やアパートの管理、保険の請求、不動産の立ち退き、場合によっては損害賠償や債務整理など、いろんな民事事件が複雑にくっついてくる場合があります。
成年後見人は、ご本人にとって、日常的な紛争を解決する顧問弁護士のような役割を果たすこともありますが、その人の生活に密接に関わるものですので、やりがいがあります。
また、DVやモラハラの問題は、まだ世間で十分に理解されているわけではありませんので、被害者の気持ちに寄り添って、力になっていきたいと思います。

– 家事事件を取り組むに当たって、心がけていることはありますか?

私が離婚事件などの家事事件を取り組むにあたって、心がけているのは、まず依頼者の方の話しを聞き、共感することです。DVなどの被害に遭われた方は、記憶が混乱していたり、時系列が上手く説明出来ない方が多いのですが、根気よく話しを聞いて問題点を一緒に探していくように心がけています。

DVの被害にあった方は、家庭内で否定されてきた経験を持つ方が多く、最初は自己評価が低い方が多いのですが、一緒に話していく内に気持ちが整理され、法律相談に来て、家庭内の問題点を初めて認識する方もいます。
裁判所では、家庭内の支配関係や暴言等のいわゆるモラハラは、録音やメール等、客観的な証拠がないと立証が難しいですが、本人の話を丁寧に聞き取り、断片的な証拠や本人の供述を積み重ねて立証出来るよう心がけています。

安田まり子弁護士に出会えたおかげで、新たな世界を知った

– 新人の頃、最初は大変なこともあったでしょう。

そうですね。最初の頃は、依頼人の話をずっと聞いていて感情がマイナス方向へ引きずられてしまい、沈んでしまうこともありました。

– つらい体験を聞いていると、聞いている側の気持ちも沈んでいくことは、よくあるかもしれないですね。

相談者の話に共感するのは大切ですが、感情に引きずられるのは弁護士である以上、避けなければならないと思います。

また、依頼人の希望を法的に実現できないこともあるわけです。できることと、できないことがあって、いくら気の毒に思っても、できそうもないことを安請け合いしてしまうと、結局は依頼人と弁護士との信頼関係が崩れてしまいます。それに、ご本人のためにもならないですよね。

– 弁護士として家事事件を担当しているとき、最も難しいと思うことは何でしょうか。

家事事件は、人の感情や気持ちに関する比重がとても大きく、合理的に割り切れない点が難しいと思います。

過去の判例があるなど、法律的な答えは出せていて、こちら側が正しいとしても、依頼者の気持ちの上で「それはできません」とか、先方も納得できないとか……。お子さんがいれば、お子さんの気持ちにも配慮しなければなりません。

また、私の軽はずみな発言で、依頼人を傷つけないよう注意する必要があります。ほかに頼れる人がいなくて、弁護士がその立場や気持ちに共感しなければ、本当に孤独になってしまう人もいますので、その点は気をつけています。

他の事件よりも感情の要素が大きく関わってきますので、そういう意味では独特な難しさがあると思います。

– 気分転換は何をされますか。安田先生とクラシックを観に行かれたりとか。

そうですね。クラッシックのコンサートやオペラ、絵画について、わたしは決して詳しくないのですが、安田先生ご夫婦がよくご存知で、いつも積極的に情報をキャッチして誘ってくださるので(笑)、新たな世界を知ることができています。
私は芸術面に明るくないのですが、クラッシックを聴いていると、リラックスするのか、事件の解決法がふっと思いついたり、やらなければならないことを思い出したり。リフレッシュだけでなく、仕事の上でも役立っています。
また、安田先生とは家族ぐるみでおつきあいさせて頂いていて、安田先生のご主人と一緒に3人で食事をしたり、私がお家に遊びにお邪魔したり、仕事面だけでなく、プライベートでも一緒に過ごすことが多いです。

– 最後に、法律的なトラブルを抱えているけれども、法律相談に行くのを躊躇している方に対して、何かアドバイスはありますか。

相談したいけれども、なかなかできずに、いる方は少なくないと思いますが、弁護士に限らず、まずは誰かに相談することが大切です。

先ほどもお話ししましたが、家庭内で精神的な暴力を受けたりした経験がある方は、自己評価が低く、「こうなったのは自分が悪いのではないか」「他人に、自分の状況を話すのが恥ずかしい」と思う方は多いのですが、そんなことはありません。自分の気持ちを誰かに話すことによって整理することも出来ますから、まず一歩踏み出す勇気をもって、気軽に相談に来ていただきたいです。

「相談にいらした時点で、解決の第一歩」だと思います。


肉体的、精神的に追い詰められた女性の笑顔を取り戻すため、安田まり子弁護士の頼れる右腕として、土田清子弁護士はますます活躍していかれるに違いない。
最後に「独立の予定はありますか?」と質問し、土田先生が「今はまだありません」と答えたのを聞いて、そのそばにいた安田先生が、ホッと胸をなでおろした表情を見せていたのが印象的だった。

安田まり子法律会計事務所

土田 清子 弁護士
安田まり子法律会計事務所

2002年 都立日比谷高校卒業
2007年 國學院大學卒業
2010年 駒澤大学法科大学院卒業
2011年 弁護士登録

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