トラブルの相手方をも友好的に丸め込む 交渉のエキスパート / 瓦林 道広 弁護士


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オフィス街である新橋や虎ノ門からも程近い南銀座を拠点にして、企業法務から一般民事まで、幅広い相談や依頼を受け付ける東京銀座法律事務所を訪れ、今回は瓦林 道広先生にお話を伺った。

相手方との的確な間合いも読む、その高いコミュニケーション能力を武器に、可能な限りで交渉での解決を目指すにあたっての秘訣、そして相手方からの信用を早期に勝ち取る信頼性や人柄を垣間見るインタビューとなった。

依頼人の協力もあれば、スピード解決も実現できる

瓦林 道広 弁護士

– 相談が持ちこまれた法律案件の解決にあたって、特に気をつけていらっしゃることはありますか。

私は、交渉で解決へ持っていくことが多いです。

裁判ですと白黒を付けて、少なくとも当事者の片方が負けて、しこりが残ってしまい、紛争が続いてしまうことがあるんです。
でも、交渉って、必ずお互いが握手をして終わるんです。お互いに納得をして、紛争を解決することができます。

交渉で解決するには、当事者の感情に注目して、どういう利益を求めているのか、感情的に何が引っかかっているのか、どんな背景事情があるのかを見ていかなければなりません。

そうして、感情面での引っかかりを取り除くことができれば、経済的な利益については多少、譲歩してもいいと考える方は意外と多いのです。
譲ってはいけない最優先事項と、早期解決のために譲るべき事項を切り分けることが必要ですね。

また、相手方の代理人とも会話を重ねて、相手側がどのような感情の引っかかりを持っているのかを把握するようにもしています。そうして、双方にとっていい解決に導けるような案を探っていきます。

そのためには、法律論をしっかり立てて、先を見通せるようにしておかなければなりません。また、弁護士が解決に向けてしっかりと動いていることをわかってもらう必要もあります。

– だとしたら、瓦林先生ががんばっても、相手方の弁護士がダメだったら、解決が難しいですね。

それ、おっしゃるとおりです(笑)

– どういう弁護士がダメだなと思いますか。

法律論ばかりにこだわりすぎている人ですとか、人の気持ちがあまり分からない人、要はコミュニケーションがあまり得意でない人ですね。そういう代理人が相手方だと話し合いが進みませんので、裁判手続きを使うしかないか、という流れになります。

– 法律論の戦いに持ちこむ気なら、裁判をしたほうがいいですよね。裁判に移行させたがっている弁護士がいるのでしょうか。

そういう場合もありますし、それはそれで仕方ないと思います。

ある離婚案件で、受任してから、離婚成立・お金の支払いまで1カ月で済ませたことがあります。もっとも、当事者のご協力のおかげで早く解決できたのですが。

この件で、私は離婚を希望している奥さんの代理人を務めたのですが、その方は旦那のもとから逃げ出してきたようなかたちだったんです。
私はすぐに旦那さんと直接会いました。旦那さん側には弁護士が就いていませんでしたし、旦那さんからは相当警戒されていたんです。

しかし、時間をかけてじっくりと話を続けていると、旦那さんからも、私のことを「変な弁護士ではない」とわかっていただけたようで、その日のうちに「わかりました。(離婚)手続きを進めてください。」と返答をもらうことができたんです。

– 初対面にして、解決への手がかりを掴んだわけですね。

こういうときに大事なのは、決してタイミングを逃さずに「相手の気が変わらないうちに、解決を進めてしまう」ということだと思います。ですから、相手方の感情の機微、揺れ動きなどは、よく観察するようにしています。
数か月後に旦那さんが「やっぱりヨリを戻したい」と言ってこられたようなので(笑) タイミングを逃さずに解決できて良かったなと思います。