少年事件と生まれ故郷に、法律家人生を賭ける / 松田 和哲弁護士


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政令指定都市の千葉市に隣接する四街道市は、江戸時代に成田山道・千葉町道・馬渡道・船橋道の4街道が交わる交通の要所であった。人里として栄え始めたのは、明治時代以降のことという。
現在は、四街道市内で事実上唯一稼働している法律事務所が、多様な悩みを抱えた人々が各地から集結する一大拠点になりつつある。今回は「よつかいどう法律事務所」の代表、松田和哲弁護士にお話を伺った。

弁護士活動の原点となった「少年事件」に、現在も注力

– 四街道市内で唯一の事務所ということなので、その名もズバリ「よつかいどう法律事務所」なわけですね。

漢字だと読みにくくて印象に残りづらいかもしれないと思いましたので、ひらがな表記にしました。

– 今でも唯一なんですか?

そうです。

– 独占状態ですね!(笑) そうなると、注力分野を作るというより、相談にいらしたお客さんの要望に、そのつど対応するスタンスなのでしょうか。

そうですね。来る者拒まずのスタンスでやっております。相談の中で多いものは、離婚や相続、破産や債務整理です。
よほど専門性の高い分野の案件ですと、お断りする可能性もありえますが、その場合は専門分野に精通する別の弁護士と組むことになりますし、幸い、私がお断りしなければならないようなご依頼はほとんどありません。

– 医療過誤の問題なども担当していただけるのですか。

そうですね。患者側で代理人を務めたことはあります。
人が一生のうちで直面しうるトラブルであれば、一通りのことには対応できるように勉強しています。

– 特に力を入れているものは何でしょうか。

少年事件、その中でも少年が対象となる裁判員裁判に関心があります。日弁連や千葉県弁護士会の「子どもの権利委員会」にも所属しています。
少年法によって氏名は非公開で、少年のプライバシーを確保するため、法廷の中についたてが立てられたりもするのですが、重大犯罪を犯した少年に対して、世間の目は厳しいです。

しかし、少年の場合は逃れられない生育環境が犯行に大きく影響している場合があります。親御さんから殴られ続けていれば、暴力をコミュニケーション手段に選ぶ子どもに育ってしまうかもしれません。もちろん、暴行でケガを負わせたり、まして死なせたりするのはいけないことですが、その少年だけに厳罰を科すだけで済むのだろうか。この社会はそれでいいのだろうか。周りの大人はどのように対処すべきかを、裁判員の皆さんに説得的にどうやって伝えるかを考えたり、専門誌に寄稿したりしています。

– 確かに、世間には厳罰主義の雰囲気が充満しているかもしれません。

確かに裁判員裁判が導入されてから、量刑が重くなっている刑事事件もあります。しかし、ただの厳罰主義にはなっていないと私は考えています。

たとえば要介護のお年寄りにご家族が手を掛けたような殺人事件などは、裁判員裁判になって昔より量刑が軽くなり、執行猶予が付きやすくなっている傾向があるそうです。
単なる厳罰ではないですが、今までとは異なる量刑がなされているのは確かです。

– 裁判員裁判になって、いわゆる量刑相場の枠を超える判断がなされることも増えているわけですね。

裁判官の刑事裁判のように、相場だけで結論は決まらないので、ちゃんと事情を説明すれば裁判員にはわかってもらえる、という手ごたえを感じています。

このほか、「児童虐待対応法律アドバイザー」も務めています。要は、児童相談所の代理人です。

– 民事事件の代理人ということですか。

たとえば、虐待を受けている子どもを児童相談所で一時保護し、養護施設に入れるときには、原則として親御さんの同意が必要となります。ただ、親御さんは反対しているけれども、施設に入れることが子どものためになると考えられるときは、家庭裁判所の承認の審判を得ることで、養護施設への入所を実現させられます。その審判手続きでの代理人です。

こういった子どもの権利まわりの事件は、他の弁護士は滅多にやらないので、私の注力分野といえるかもしれません。