IT法務や労働法に精通し渋谷の企業を支える法律事務所 / 日向 一仁 弁護士


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労働法に違反する経営を平気で行う「ブラック企業」と呼ばれる会社は、なかなか無くならない。特に長時間勤務による過労が改めて社会問題となっている昨今である。

東京渋谷法律事務所代表の日向一仁先生は、顧客企業を「ブラック企業」にしないためにも、「残業をさせない」ことが社員のスキル向上・業務の効率化に有意義であり、会社にとっても残業代という人件費を削減する以上の利益があるという考えをもっている。
もちろん自身が代表を務める事務所でも、事務職員に極力残業をさせないようにしており、まさにクライアントへの「率先垂範」といえよう。

今回は、渋谷駅から宮益坂を登り切ったところに拠点を構える、東京渋谷法律事務所代表、日向一仁先生にお話を伺った。

きっかけは高校時代の裁判傍聴

– 日向先生が弁護士を目指そうと思われたきっかけは何でしょうか。

出身地の山梨にいた頃ですが、高校生のとき、大学に進学して、法学部に行こうとは漠然と決めていたんですが、法律の勉強って何をするんだろうなと興味があって、ひとりで裁判傍聴へ行ってみたんです。

– 高校生で傍聴ですか。最初は少し勇気が要るかもしれませんが、法廷へ自由に入れるというのはご存知だったんですね。

そうですね。そのときは、食い逃げを繰り返して、刑務所を出たり入ったりしている年配の方の刑事裁判を傍聴したのですが、裁判が終わった後、裁判官が声を掛けてくれたんです。高校生がひとりで裁判傍聴に来たことをすごく喜んでくれて、裁判官の椅子に座らせてくれたりもしまして。

– ずいぶんと、大サービスですね!

「大学では法学部にいきたい」と、自分の志望を裁判官に話したら、「だったら司法試験も受けなよ」と言われたのが、今、弁護士をしている一番のきっかけだったと思います。

– プロの法律家から言われたら、その気になりますよね。

それで旧司法試験を受けまして、2004年に合格できました。

– 事務所立ち上げ時に、苦心したエピソードなどはありますか。

やはり、一緒に執務をする弁護士としてどんな人物を迎え入れるかは、慎重に検討しました。大々的に募集をかけたわけではありませんが、紹介などで徐々に信頼できる弁護士に加わってもらいました。

法律家の立場から、アプリの利用規約も作成します

– 日向先生の弁護士としての注力分野は、どういったものになるのでしょう。

渋谷という立地上、IT企業、ベンチャー企業の社長さんからのご相談が多いです。私は現在、41歳ですが、30代、40代の社長さんは、同世代の弁護士に相談できると安心感があるようです。

– IT・ベンチャー企業の社長からの法律相談は、たとえばどういった内容なのでしょうか。

たとえば、新しいビジネスのアイディアがあるけれども、法律的に問題はないか、あるいは新しいアプリを開発したので、その利用規約を作ってほしい、といったご相談をいただきます。

また、ベンチャー企業の場合、創業者間のトラブルもあります。経営がうまくいっている間はいいのですが、うまくいかなり、業績回復も見込めないとなると、出資したお金の清算をどうするのかが問題になります。

あるいは、新事業のアイディアやノウハウ、営業秘密を知っている経営者や従業員が会社から抜けた場合、残った経営陣が「情報漏洩だ」と抗議して、紛争になることも多いですね。

– 情報漏洩になるのですか?

ベンチャー企業は、ビジネスのアイディアや技術だけで勝負する面もありますので、こういった情報の取り扱いというのは非常に大切なことなんです。ですから、情報漏洩としてトラブルになることは多いですよ。

また、会社が収益を上げればお金をもらえると思って頑張って働いてきたけれど、もう我慢できないので未払いの残業代を請求したい、などのご相談を従業員の方から受けることもありますし、使用者側からも、従業員とトラブルになったというようなご相談をうけることもあります。

たとえば、従業員が自社株のストックオプションをもらえるものと期待して、時間や労力を使ってきたけれども、なかなかもらえず、もはや我慢の限界であると言って爆発すると、大変なことになります。

– IT系の企業では、これからどういう法律問題が新たに浮上してきそうでしょうか。AI(人工知能)ですとか、IoT(物のインターネット)などが話題になっていますが。

たとえば、AIが集めた氏名や電話番号などの個人情報について、取り扱いをどうすればいいのかといったご相談を、実際に受けたことがあります。その人工知能が、他の人に自動的に個人情報を漏らしたらどうなるのかとか、これから裁判例がどんどん増えていくのかもしれませんね。

そういうAIを含むアプリなどの利用規約を作るのは、すごく難しいんですよ。正直、これからどういう問題が生じるか、完全には先読みできませんからね。それこそ、色々な場面を想定しなければなりません。
「こういう問題が生じそうだから、利用規約でケアしてください」と、クライアントのほうから具体的にご説明いただくのですが、クライアントご自身も、どのような問題が発生するのか、すべてを把握できているわけではありません。

– 知的財産権がらみの問題も多くなりそうでしょうか。

そうですね。知的財産権については、契約書でどのように定めるのかは、ある程度のパターンが決まっています。しかし、新しい技術が絡むと、いろんな視点で、どのような不都合が生じそうかを予想して、契約書や利用規約等をどのような内容にするか決めなければなりません。想像力と慎重さが要求される非常に難しい作業です。

かといって、「運営側がすべて免責されます」という利用規約のサービスやアプリなんて、誰も使いたくないでしょうからね(笑)。